境界性パーソナリティ障害(BPD)を考える

境界性パーソナリティ障害に関するインターネット上の言説を整理しています。

境界性パーソナリティ障害(BPD)を持つ人に「限界・境界」をどう設定し、伝えるか

今回は、境界性パーソナリティ障害(BPD)の方の周囲におられる方向けの記事です。前々回、「承認」の記事を書きました。

thinkbpd.hatenadiary.jp

今回は、この記事と同じ本からの情報になります。かなり良書なので引き続き取り上げていきます。

限界の観察

BPDの方であれ、そうでない方と接するときであれ、人間には相手の行動に対する「限界」というものが存在します。例えばあなたの相手は、お構いなしに境界線を超えてくるかもしれません。深夜に電話を掛けて叩き起こす、メールやLINEの返事を少ししなかっただけで怒り出す、などです。

こうした場合に、もしかしたらあなたは耐え続けるかもしれません。しかし、それはあまりよいやり方とはいえないでしょう。いつしか貴方の我慢は限界に達し、感情が爆発し、相手との関係が良好に保てなくなってしまうことがあります。

まずは、自分の限界がどこにあるのか?ということを、はっきりと意識する必要があります。相手が罵ってくることについてどれぐらい耐えられるのでしょうか。相手の要求にどこまで答えられるのでしょうか。

一番困るのは、自分の限界を見誤ることです。「電話に出たくないのに」出てしまうこと、「会話したくないのに」会話してしまうこと、これらで緊張し、ストレスが生じていないでしょうか。こういう状態でも、我慢強い人は「耐えてしまう」のです。しかし、この「耐える」という状態がそもそもあまりよい状況ではありません。自分が本当にしたいと思うことをしましょう。そのために、身体的な感覚、思考、行動への衝動などに注意を払う必要があります。限界は、BPDの方ではなく、むしろBPDの方の周囲におられる方が主体的に設定するものなのです。

限界の設定と伝達

自分の限界がわかって、それが超えられるようなタイミングがあれば、BPDの方に限界を設定し、伝達するチャンスかもしれません。しかし、タイミングは見極める必要があります。BPDの方が何かの理由で感情的に苦悩しているときに、あなたが限界について話すのは、あまりよいタイミングではないように思えます。屍に鞭打つとまではいいませんが、あまりポジティブな反応は期待できそうにありません。こうした場合は、「状況をただ描写する」ということが良い行動かもしれません。以下の様な例が考えられます。

例:この前の金曜日は、10時を過ぎてから4回も電話をかけてきたね。

次に、あなたの愛するBPDの方を承認し、感情的に落ち着かせつつ、状況についての気持ちを表現します。

例:「あなたと話すのは楽しいけど、金曜日の夜は違うことをして過ごしたいんだ。あなたが電話をしてきて、しかも飲み過ぎていると、本当にイライラしてしまうんだ」

そして、限界を述べます。

例:それで、金曜日の夜、バーに行った後ではもう電話をしてほしくないんだ。

最後に、相手に起こる感情の高まりを予測し、積極的に承認を行ってください。

例:金曜日の夜に、大きな古いアパートに一人で帰宅したら孤独になるのはわかるし、話をする人がいないことはとてもつらいよね。

限界設定は毅然と行うこと

このような形での限界伝達を行います。限界を伝達する場合、殆どの場合、「相手がしてきていることで、自分はしてほしくないこと」をしっかりと主張していくことになります。この時、恐れてはいけません。限界設定はあなた自身のためのものだからです。相手のためになることではない、ということは覚えておきましょう。

限界設定を設けることは当然相手にとってはつらいことです。ですから、例えば深夜には電話出来ないけど、休日の昼になら電話ができるとか、ある種の交換条件のようなものを提案できるとよいでしょう。

誰かに何かを取り下げられ、限界設定されるということがいかにつらいか、については共感できるところがあるはずです。積極的に、自分が共感できるところについて承認していきましょう。相手に伝えないと何もはじまりません。承認の方法はこちらで取り上げています。「電話したい時に誰かに電話できないと言われるのはつらいよね」と言いましょう。

限界を伝達するときには、壊れたレコードのようになる必要があります。すなわち、一言一句を何度も繰り返してください。

限界を伝達しているときに人々が感じるのは、罪悪感、恥、恐れなどです。自分自身の感情には正直になるべきです。限界を超え続けると、あなたの中での怒りやストレスはどんどん大きくなり、燃え尽きてしまうでしょう。怒りの爆発は、関係の終焉を生みます。関係を終わらせたくなければ、あらかじめの限界設定は長期的にはとても役立つ行為になると思います。このとき、相手の感情に飲み込まれないよう、自分を落ち着けながら喋るということを忘れないようにしてください。

境界性パーソナリティ障害(BPD)の病院の選び方に重要な5つの観点

さて、今回は境界性パーソナリティ障害かも?と思った場合の病院や治療者の選び方について私見を述べていきます。今回の記事は、境界性パーソナリティ障害(BPD)の方本人や、その周りの方に向けての記事になります。
あくまで私見です。選び方については様々な観点がありえますし、相性なども大切なことです。
ですから、こういった記事を書いておいてなんなのですが、世間的に良いとされる病院があなたにとっても良い病院とは限りません。
幾つかの観点に分けてご紹介します。

観点1:境界性パーソナリティ障害に理解のある病院、治療者か?

この観点が1番重要だと言えます。境界性パーソナリティ障害は、日本ではまだまだ理解の少ない症例であると思います。中には、「境界性パーソナリティ障害は性格であるから治らない」という、最新の研究からも、論理的にも、おかしなことを言う治療者まで存在します。
境界性パーソナリティ障害は、海外においては弁証法行動療法などの改善方法が適切な効果をあらわすことが実証されています。また、仮に性格であるというのなら、人の性格というのは後天的に身につけるものであり、良い方向にも悪い方向にも向いていくものです。ですから、性格であるから治らないというのも、おかしな話です。
さて、話を元に戻すと、境界性パーソナリティ障害に理解があるかどうかチェックするポイントは、まずは、その病院ないしカウンセリングセンターのページに、「境界性パーソナリティ障害」という言葉が登場するかどうかを調べてみてください。仮に登場しなければ、その病院には行くべきではありません。理解がない可能性が高いからです。
書いてない、または書いてあるが不安という場合には、直接電話などをして、境界性パーソナリティ障害の改善、治療に対応しているかどうか?を聞いた方が良いかなと思います。ここで歯切れの悪い答えが返ってくることがあります。こうした場合においても、要注意であると言った方が良いでしょう。境界性パーソナリティ障害の改善について具体的なプランを持ち合わせていない医師やカウンセラーにあたるのは最悪です。

観点2:境界性パーソナリティ障害が改善できる症例であることをはっきり述べられる治療者か?

私たちは、いま、境界性パーソナリティ傾向を改善するために治療者を探しているわけであって、治療者を誰でもいいから探しているわけではありません。
明確なプランを持っている治療者を必ず探しましょう。この際に重要なのは、治療を受ける側の納得感です。かならず方針を何かの機会に知っておくようにするべきです。今後の見通しについては、治療者と患者の二人三脚で立てていくものです。それに加え、周囲からの温かいサポートがもちろん重要だと思います。

観点3:薬を使う場合には、なぜ薬を使うのかを説明できるか?

信じられないことですが、なんの説明もなしに、境界性パーソナリティ障害の方に対してSSRIのような薬を処方するケースがあります。何も薬を処方することが悪いわけではありません。薬を併用しながら、カウンセリングや日々のトレーニングをしていくことで改善を図るつもりであれば、治療者からそれを説明する必要があるのです。それなしに、薬だけ処方されても、絶対に治ることはないでしょう。繰り返しになりますが、薬を処方するのが、悪いわけではありません。なぜ薬なのか、ということに納得感があれば大丈夫ですが、薬には気をつけてください。

観点4:通い続けられるか?

境界性パーソナリティ障害の改善は一朝一夕には成し遂げられません。短くても数ヶ月、あるいは数年に治療がわたることもあります。
であれば、例えば電車で片道何時間もかけて通うことが可能かどうかは、考えた方がよさそうです。ほかに代替手段がなければ仕方ありませんが、常に継続性を考えて、なるべくなら近場で選べればベストです。
また、お金の問題もあると思います。境界性パーソナリティ障害の治療では、保険適用外になるということが非常に多いです。この場合では、一回の治療費が1万円からそれ以上になるという場合も多いのです。何十回にも及ぶと考えると、やや腰が引けてくるかも知れませんが、お金がかかるというのは現実問題としてありますので、その辺りは覚悟する必要があります。

観点5:最新の動向を研究しているか?

境界性パーソナリティ障害への理解は近年になって急速に進んできています。ですから、治療者の中には、まったく勉強をしていない、知識のアップデートを怠っているケースがありえます。
このような治療者を避けるためには、ご本人が書籍を書いていたり、研究会や学会などで発表をしているか、論文を書いているか、などを調べる必要があります。
個人的には、境界性パーソナリティ障害と表記しているならまだしも、境界性人格障害という時代遅れな名称を使っている治療者は避けるべきと思います。
こうした観点から、じゃあ結局どこがいいの、ということになりますが、これは自分で探すのが1番最善です。お勧め書籍は、いくつかこのブログでも紹介していますし、その著者の開いているクリニックやカウンセリングセンターに行くのも良いでしょう。また、リンク先から飛べる、BPD家族会というページにも治療者や講演会の情報がありますので、是非参照してみて下さい。

「承認」の6つのレベルと、その隠された効果

さて、前回に引き続き、今回も「承認」の重要性について書いていきます。というわけで、今回も境界性パーソナリティ障害(BPD)の方ご本人向けの記事ではありません。その周りにいらっしゃる方や、BPDでなくとも周りに悩みを抱えた方がいる、という人向けの、相手をどうやって癒していくか?という記事になります。

「承認」の有効性は前回書いた通りです。これは境界性パーソナリティ障害(BPD)の方への付き合い方という枠を越えて、悩んでいるすべての方に対する人付き合いの方法とも言うべきものだという気がしています。

前回書いたように、承認には6つのステップがあります。それをご紹介していきます。気になる方は、本を読んでみてください。

境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ -家族、友人、パートナー、のための実践的アドバイス

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相手との関係でまずしなければならないことは何か

まず承認のもっとも重要な点は、相手は「本当はただ聞いて、君の反応が間違っていないよ、と言って欲しかっただけである」という点です。人が悩みを言い始めると、わたし達はすぐに「こうしたほうがいい」「ああすべきだ」などと、具体的な解決策を提示してしまいます。勿論アドバイスとしてそれが有効な場合はあります。

しかし、それは十分に信頼関係が構築できてから、次のステップで行うことです。人間関係を作るには、やはり相手への理解や共感という姿勢がとても大事になってくるのです。もし共感や信頼をしていて、相手のことを理解しているのなら、まず理解していることを言ってあげることが重要になるのです。

理解していないのに理解していると言わない

誰かを承認する時には、発言において誠実で、本気であることが必要不可欠です。多くの場合、ウソで承認をしても無意味です。ウソの承認は、「慰め」や「見下し」にとられてしまいます。そうすると結局「あの人はわかっていない!」という風にとられてしまうのです。

あくまで本心で承認できることにフォーカスしてください。ここでいう承認は、必ずしも相手の人への同意を意味しません。例えば、辛い思いがあったからといって、相手が自殺未遂を起こした場合に、「その気持ちには同意する」ということは、自殺未遂を正当化してしまいます。しかも、実際には辛いことがあったからといって、自殺未遂することには同意しかねるケースが大半でしょう。正常でない行動を正常なこととして扱うのは、承認できないことを承認することにつながってしまいます。こういった場合には、後で述べる承認のレベル4のように、「嫌な気分になったとき、あなたの場合はこうしてしまったんだね」と事実を客観的に伝えるようにしましょう。

承認の6つのレベル

さて、弁証法行動療法のなかで、マーシャ・リハネンは承認を6つのレベルに分けています。承認は感情的対立を抑え、人間関係をヒートアップさせないための非常に重要なスキルとなるので、この機会にぜひ身に付けるようにしてみましょう。

レベル1:意識し続ける(stay awake)

感情的に高ぶっている人を承認するのは中々難しいことです。第一に、自分が落ち着いている必要があります。我を忘れていては、相手を承認することができなくなってしまいます。

まずは、落ち着いて相手の話を聴くということが第一ステップです。前傾姿勢をとり、頷き、あなたが相手の話に注意を払ってあげていることを示すように、質問をしてください。要するに、まずは良い聞き役になる必要があるのです。

この時に重要なのが、価値判断的にならないことです。相手の話を聞いて、「なんてひどいんだろう」「なんて愚かなのだろう」と軽蔑するような態度は、必ず顔に出ますし、相手の言うことに対して良い・悪いという判断を下すのは禁物です。

価値判断的にならないためには、相手の人が言っていることに精神的に注意を払い続け、マインドフルネスになる、ということです。判断するという思考を手放し、事実をありのままに捉える訓練が必要です。

レベル2:鏡のように映し出す(reflection)

あなたがその人の発言を「正確に聞いているんだよ」ということを示すためには、相手にそれを伝達する必要があります。例えば、オウム返しなどはある程度有効な手法です。「私はそれについて~~と感じたんです」「そうですか、あなたは~~と感じたんですね」のように、ただ繰り返すのです。この単純なオウム返しは、幾分効果を発揮しますが、相手が落ち着いてくると、ただ単にオウム返ししているだけなのではないか、という疑念にとらわれます。

そこで、オウム返しから一歩進んで、相手のことを理解している、と伝えるには、言い換えの技術を使いましょう。「私は明日、就職面接で何が起こるかわかったもんじゃない!とても不安なの」と言われたときに、「なるほど、明日の面接は何が起こるかわからないから、それで不安で気分が悪くなっているんだね」というように、軽い言い換えで、自分の言葉に咀嚼してみるのが有効になります。

相手が落ち着いてくればくるほど、オウム返しは相手を苛つかせてしまいますので、言い換えにも工夫をもたせるようにしてください。ただ、相手のことを繰り返して理解を伝えていくことは、とても重要なコミュニケーションの一部といえます。

レベル3:はっきり述べられていないことに言葉を補う

本書では、これを「読心術」という風に表現しています。その人があなたに言っていないことについて、ちょっとした仮説をたてて、質問形式で表現します。

例:「あなたは昨晩の出来事のせいで、ひどく自分自身を責めているのではないですか?」

このように、相手が心のなかで抱えているが、うまく言えていないようなことを探しだし、ことばを補ってあげることで、相手に「この人は本当に理解してくれているのだ」という安心感を与えてあげることができます。

もし、ことばを補ってもそれが間違っていたとしたら、それでも前向きになる必要があります。例えば前の質問であれば、「昨晩の出来事は関係ないよ。自分自身を責めてもいない」と言われるかもしれません。そうであれば、またレベル1に戻り、相手のことを意識しながら、「では、本当に心配しているのはどういうこと?」という風に、聞き直すという態度に戻っていきましょう。

レベル4:個人史や生物学の観点で承認する

「あなたが経験したことから考えると、あなたが取っている行動は非常に理解できることである」と相手に告げてあげることです。本書では、稲妻を見るとクローゼットに逃げ込みたくなる人の例が上がっています。それは、その人の家が、嵐の中で火事にあって全焼してしまった経験がトラウマになっていたので、嵐がきたり稲妻がくると不安になってしまう、というものでした。このような場合には、次のように言えるでしょう。

例:「あなたがクローゼットに逃げ込みたくなる理由はよくわかります。嵐で家が燃え落ちてしまったんですから。稲妻を見ると不安になってしまうのは至極当然です。あなたの個人的な歴史の一部なのですから」

または、生物学的に承認するということもできます。例えば、アルコールを飲んで、なにか過ちを犯してしまったとき。我々はアルコールを摂取すれば、判断能力が鈍ることがわかっていますから、このようにいうことが出来ます。

例:「アルコールによって抑制が効かなくなってしまうことはあるので、飲んだあとに自分でも良く分からない行動をとってしまうことはあります」

レベル5:正常なこととして扱う

このレベルは、「他の人でも同じ反応をすると思う」ということを伝えることになります。感情的に興奮している人、例えばBPDの方は、自分は世界の中の異端者なのではないか、という感覚を人一倍強く持っています。ところが、客観的に見ると、「それはほかの人でもそうだよ」と思えることは、かなり多くあるのです。であれば、それを伝えてあげることが、感情の昂ぶりには非常に有効になります。例をいくつか挙げます。

例:「わたし達の誰でも、そういう風に感じる瞬間がありますよ」

例:「あなたのような状況なら、誰だってそういう風に考えます」

例:「私もそういう風に感じるでしょうね」

例:「それはとても正常な反応ですね」

レベル4で、嵐の恐怖を個人の歴史にもとづいて承認しました。もしレベル5の承認を使うのなら、「嵐は恐ろしいものだから、稲妻から逃げたくなる気持ちは殆どの人が持っているものだよ」と言うということになります。一つの事象に対しても、さまざまなレベルの承認を使い分けることができるのです。レベル4ではその人特定の事柄であるのに対し、レベル5では、人間全般そうであると言っているのです。

前述したように、時には「人間誰しも自殺未遂をするよね」とは言えないことがあります。このような場合には、レベル4の承認を使い、「あなたは、こういう時に身体を傷つけたくなってしまうんだね」というような承認をすることです。正常でない行動を、人間誰しもそうである、とは言えないからです。

レベル6:徹底的な誠実さ

すべての承認のレベルで鍵となるのは、誠実であることです。人々が承認をするとき、恩着せがましかったり、わざとらしかったり、ぎこちなかったり、見下していたり、親のように話したり、ということがあります。

難しいことかもしれませんが、相手を見下したり病気扱いしないで話してください。自分がなだめている「上の立場なのだ」と思いながら接すれば、必ず相手にもそれは伝わります。文字通り、徹底的に誠実である必要があります。相手を下におかずに、話すことが重要になります。相手のことを十分に能力のある人だと思い、いわば敬意を持って接することが大変重要なことになってきます。有能な人として接すれば、その人は必ずや有能な人としての尊厳を獲得できます。

 

わたし達は皆、悩んでいる時には承認を必要とします。承認という技術があると、すべての関係がよりうまくいくことが、科学的に明らかになっています。境界性パーソナリティ障害(BPD)の方以外の他者にも、こうした承認を行うことで、より関係が円滑に進むといってよいでしょう。他者との関係の中で、ぜひ実践してみてください。

なお、例では敬語を使い、少し堅い調子で言っていますが、一番重要なのは、普段と同じように接することだと思います。相手に、一種の「わざとらしさ」「ぎこちなさ」のようなものを感じさせたりしないよう、自分のコミュニケーションスキルを磨いていきましょう。

 

境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ -家族、友人、パートナー、のための実践的アドバイス

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境界性パーソナリティ障害(BPD)を持つ人への「承認」の重要性

 

境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ -家族、友人、パートナー、のための実践的アドバイス

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お久しぶりです。最近、更新が滞っていました。
今回は、境界性パーソナリティ障害(感情調節困難)を持つ方とより良く関係を築いていこうとする方向けの記事になります。実際に境界性パーソナリティ障害を抱えている方は、他の記事を読んでみてください。

上の「境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ」から、「承認」について抜粋したいと思います。気になる方はぜひ書籍を買って読んでみてください。大変な良書だと、わたしは思います。

承認の重要性

人間は皆、人から影響を受けています。その影響をより良いものにするのに非常に重要なのが、「承認」であると本書では述べています。

承認は、どのような関わりの中でも用いる事ができ、感情を対処可能なレベルまで下げ、交友関係を実り多い軌道に載せることができ、大変有益な行動になります。

逆に、「否定」について考えてみましょう。境界性パーソナリティ障害(以下、BPD)の方は、対処困難な感情を抱えています。そこで、「そんな風に感じるべきではないよ」とか、真摯な対応なしに「はいはい」と片付けてしまったら、どうでしょう?BPDの方でなくても、悲しい思いをすることは想像できるかな、と思います。

ここでいう承認とは、「同意」とは少し違います。ここでいう承認は、BPDを抱える人の行動や感情の中で、理解可能な行動を見つけたら、それに共感の意思を伝えるということです。

このことは、何もBPDの方に限ったことではなく、人間関係をうまくやっていくということの中で非常に重要なことです。あなたの気持ちは、うまく伝えないと伝わらないのです。

誠実に向き合うことが大事

今、うまく伝えないと、と述べました。ここで言う「うまく」承認するとは、何も、心にも思っていないようなことを無理に承認することではありません。そんなことをしても、お互いに悲しいだけです。本書では、承認を6つのレベルに分けて解説しているのですが、ここで決定的に重要になる承認の鍵は、誠実であることです。

声の調子が親のようであったり、恩着せがましい承認というのは、人を傷つけたり不快にさせます。相手に誠実であることが、特に精神的に疲弊しているときには、本当に難しいことであることはわかります。ですが、あなたが本当に関係を築いていきたい、愛する人に対処するとき、見下したり、いわば「ナメて扱ったり」しないように、自分自身を振り返って見てください。BPDの方をBPDだからと言って、見下した扱いをすることは一番良くないことなのです。BPDの方を、一度病気のレッテルを外して、一人の人間として見る、ということを、ぜひトレーニングしてみてください。これは、言い換えると、愛する人に対しても他の誰かに話す時と同様に話す、ということでもあります。

話が長くなるので、ここで一度切ります。次回以降に機会があれば、先ほど少し紹介した、承認のレベルについて詳しく取り上げます。これは、マーシャ・リハネンの弁証的行動療法に基づくもので、承認を6つのレベルに分け、制御不能に見える感情をうまくコントロールできるようにする、というものです。もし気になる方は、先に本書を読んでみることをおすすめします。

 

境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ -家族、友人、パートナー、のための実践的アドバイス

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境界性パーソナリティ障害と対人関係上の問題

この記事は境界性パーソナリティ障害を自覚し、改善に向けて努力している方に向けた記事です。特定のどなたかを指したものでもなければ、誰かを中傷しようとして書く記事ではありません。境界性パーソナリティ障害についての正しい理解とも限りません。あくまでインターネット上の意見の一つとして読んで下さい。

今回は、境界性パーソナリティ障害と対人関係上の問題について書きます。

境界性パーソナリティ障害と「不安定な対人関係」

境界性パーソナリティ障害(BPD)の方に見られる一つの特徴は、「不安定な対人関係」という特徴でしょう。相手の気持ちに近づきすぎてしまったり、あるいは相手に攻撃をしたり、というように、うまく対人関係を作ることができません。BPDの方本人はもちろん、周囲の方もとても悩むことになります。

対人関係で苦痛を感じやすく、衝突をしたり、孤独感を感じやすいのがBPDの方の特徴とも言えます(もちろん、BPDと言うのはレッテルの一つであり、そうでないBPDの方もいらっしゃるのは十分承知の上で、それでもこうした分類は、他の病気と同じように、改善に向けては非常に有用な分類だといえるでしょう)。

実際にBPDの方が苦しんでいるのは、どのようなことなのでしょうか。BPDの方が感じる事があるのが「見捨てられることに対する不安」「拒絶される不安」である、とはよく言われるところですから、ご存じの方もいらっしゃるでしょう。例えば、コミュニケーションにおいて予想外のことを返答されたとき、あるいは自分の発言が無視されたと感じた時、など、社会における人間関係においてはありがちなことではありますが、これらの対人関係における予想外のことが、BPDの方にとっては大きな苦痛になってしまう傾向があります。

境界性パーソナリティ障害と「コミュニケーションのつまずき」

これを、「コミュニケーションのつまずき」という言葉で表現されている医師もいらっしゃいます。コミュニケーションのつまずきとは、「自分と他人の違いが明らかになった、「えっ?」という状態」を示すというのが以下の本での定義です。

治療者と家族のための 境界性パーソナリティ障害治療ガイド

治療者と家族のための 境界性パーソナリティ障害治療ガイド

 

 実際の人間関係ではコミュニケーションのつまずきが起こることはよくあることで、いわば、他人と何か有意味なコミュニケーションを行うためには、コミュニケーションのつまずきを起こしながらやりとりをしていくのが、必須ともいえます。他人とともに生きていく以上は、このつまずきに慣れて、受け入れていくほかありません。

しかし、BPDの方にとっては、このつまずきに対する耐性があまりなく、その結果、以下の両極端に走りがちです。

1.つまずきのない、なめらかなコミュニケーションのために、BPDの方が一方的に我慢をし、著しく自分に不利益なことでも受け入れてしまう。

2.しかし、そのなめらかなコミュニケーションにも限界があり、限度を超えた結果、感情が爆発し、他人とコミュニケーションすることや関係を持つこと自体を放棄し、他者を攻撃してしまう。

これらのことは、私個人的にはバランスが取られるべきなのだと思いますが、このあたりの力の調節において困難をきたしているのが、BPDの方の特徴になっています。

もう少し次回以降で、この問題について掘り下げてみます。

毎回のように申し上げていますが、自己判断で「あ、自分は境界性パーソナリティ障害なのだ」と判断しているような人を非常に多く見かけます。境界性パーソナリティ障害は、占いや性格診断のような類の軽いものではなく、医学的根拠に基づいて診断されるものです。自分の悪いところに気づいて直すのはとても立派なことではありますが、一度専門医を調べ、受診されたほうがより有益だと思います。お医者さんにかかってください。

境界性パーソナリティ障害を治すことと人との関わり

この記事は境界性パーソナリティ障害を自覚し、改善に向けて努力している方に向けた記事です。特定のどなたかを指したものでもなければ、誰かを中傷しよう として書く記事ではありません。境界性パーソナリティ障害についての正しい理解とも限りません。あくまでインターネット上の意見の一つとして読んで下さ い。

今回は、境界性パーソナリティ障害を治すことと人との関わりについて私の思うところを述べます。

まずは病院での治療を再優先してほしい

「治療」というと語弊があるかもしれません。私は、境界性パーソナリティ障害というのは、感情の調節や対人関係のスキルがちょっと、あるいはだいぶ、人より苦手である、というだけだと思っています。
つまり、適切な訓練が少し遅れた結果、苦しい思いをしている、というのであれば、適切な訓練をすればいいということになります。
そのために必要なことは、まずは病院での適切な指導です。前回の記事などでも書いたように、弁証法行動療法認知行動療法など、様々な療法がありますし、大きなメンタルクリニックであれば、境界性パーソナリティ障害を扱ってくれないというような事態は減りつつあると言えます。なぜなら、人口に占める境界性パーソナリティ障害の方の割合は増しているからです。

ですから、このブログでも繰り返し述べているように、まずは境界性パーソナリティ障害であるということを自覚できることが寛解への第一歩となります。
次に、境界性パーソナリティ障害は数ヶ月とか1年で直るものではありません。このことを理解して下さい。少しずつ少しずつ、時間をかけて改善させていくものです。治療の途中には苦しいこともあるかもしれません。ただし、その後に開ける世界は必ずや良い物になっているはずです。

私が思うに、境界性パーソナリティ障害の方の中には自分の感情の調節困難に途中まで立ち向かいつつも、周囲から「良くなってきた」「もう境界性パーソナリティ障害と思えない」と言われることで、自信を付けてしまい、その瞬間からまた悪化が始まる方がいると思います。
気を抜くとすぐに悪化していくのが、境界性パーソナリティ障害です。通院については、医療関係者が良いというまで絶対に自己判断で中断しないことが重要です。どんなに信頼できなくなっても、自己判断でやめてはいけません。やめたくなっている、という事実も、医療関係者に伝えるのが良い場合もあります。
しばらくは、「自分の心の思うがままに生きる」と考えず、社会や友人、恋人とうまく調和することを第一に考えて下さい。じつは、それが長期的に見るとあなたの為になっているからです。心の思うがままに生きることで、今まで失敗してきたこともあったはずです。

境界性パーソナリティ障害の方は人と関わるべきか

境界性パーソナリティ障害の方は人と関わるべきか、というのは難しいテーマです。
境界性パーソナリティ障害の方は、知らず知らずのうちに人を傷つけてしまったり、あるいはご自分が傷ついたり、ということを繰り返しています。
人と関わった時、容易に想像できるのは、また人を傷つけたり傷ついたりを繰り返すであろう、ということです。
しかしながら、自分で必死に抑えることがなんとかできるならば、私は境界性パーソナリティ障害の方のできる範囲内で、正確に言えば、境界性パーソナリティ障害の方ができると思っていることの半分の力ぐらいを使って、人と少しずつ関わっていくことを始めるべきだと思います。
ただし、その場合にも、自分が社会のルール、人間関係のルールに従って行くことが重要である、ということを忘れないで下さい。
人と関わることは、自分の対人関係スキルと感情調節スキルをトレーニングすることだということを常に意識してください。
そうしながら、反省したこと、困っていることをしっかりとメンタルクリニックなど専門の機関で話し合っていくようにして下さい。
そうしていくうちに、少しずつ社会にまた受け入れられるようになっていくはずです。

境界性パーソナリティ障害の改善のための弁証法的行動療法

この記事は境界性パーソナリティ障害を自覚し、改善に向けて努力している方に向けた記事です。特定のどなたかを指したものでもなければ、誰かを中傷しよう として書く記事ではありません。境界性パーソナリティ障害についての正しい理解とも限りません。あくまでインターネット上の意見の一つとして読んで下さ い。

今日は少し短めの記事を更新します。

境界性パーソナリティ障害は自覚し、改善できるもの

境界性パーソナリティ障害については、これまで述べてきた通り、まず自分が境界性パーソナリティ「的な傾向」があることをまず自覚するところから始まります。このブログにたどり着く方の中には、境界性パーソナリティ障害の方と何らかの関係(家族、友人、恋人)を持っているケースと、ご本人が境界性パーソナリティ障害であるケース、そして、境界性パーソナリティ障害かどうかは判らないが、どなたかからそれを指摘されたケースがあると思います。

まず、前者2つの場合には、何度もこのブログで書いてある通り、境界性パーソナリティ障害の方にしっかりと自覚を持って頂き、かならず通院をしていくという努力が必要です。また、自分は境界性パーソナリティ障害だろうかと悩んでいる方も、一度お医者様にかかってみるのが良いかと思います。

繰り返しになりますが、境界性パーソナリティ障害とは単なる疾病名です。従って、改善が可能な疾病ということになります。境界性パーソナリティ障害であるということをまず分かっていただきたいのです。

境界性パーソナリティ障害の改善のための弁証法行動療法

ここでは、境界性パーソナリティ障害の改善のために使われる弁証法行動療法について紹介します。
弁証法行動療法(Dialectical Behavior Therapy: DBT)とは、境界性パーソナリティ障害の方が自分でも制御できず困っておられる「自分の感情」と向き合い、自然に抑えることができるように訓練する方法、とお考え下さい。

境界性パーソナリティ障害の方は、往々にして落ち着いている時は極めて落ち着いているのだと思いますが、いざ感情的に圧倒される状況に陥ると、頭では分かっていても制御しきれない感情の暴走に巻き込まれ、うまく社会で関係が作れない、という事があると思います。

こうした状況に対応するために、考えだされたのが弁証法行動療法(DBT)です。弁証法行動療法の創始者であるマーシャ・リネハン博士は、自身も境界性パーソナリティ障害であった方です。自身を癒やした経験、また境界性パーソナリティ障害の方の治療行為を通じて、こうした方法を一つの体系として完成させました。この弁証法行動療法は、続けていけば境界性パーソナリティ障害の改善に効果があることが実証されています。

残念ながら日本では弁証法行動療法を専門の医療機関で受けられるケースは少ないのですが、自分でそれに類似している行為を行うことも可能です。ただ、基本はやはり通院ですので、併用することをおすすめします。我流で改善していこうというのは多くの場合、効率が悪いためです。

弁証法行動療法を取り巻く「4つのスキル」

弁証法行動療法では、

  1. 苦悩耐性スキル:苦痛な出来事によりうまく対処する方法
  2. マインドフルネス・スキル:今現在の瞬間をあるがままに受け入れる方法
  3. 感情調節スキル:感じている感情を客観的に観察し、コントロールする方法
  4. 対人関係スキル:自分と他者との関係をよりうまく設定していく方法

について学び・訓練することになります。また機会があれば、これらのスキルについて詳しく見て行きたいと思いますが、知識として知っていることよりも実践が重要であることを忘れないで下さい。もちろん、無理はされないように。

弁証法行動療法については日本語の資料があまりないのですが、興味があれば色々調べてみてください。書籍が良いでしょう。以下の2つを挙げておきます。上2つは本人向け、下は家族・友人・恋人向けという感じでしょうか。

 

弁証法的行動療法 実践トレーニングブック‐自分の感情とよりうまくつきあってゆくために‐

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  • 作者: Matthew McKay,Jeffrey C.Wood,Jeffrey Brantley,遊佐安一郎,荒井まゆみ
  • 出版社/メーカー: 星和書店
  • 発売日: 2011/06/24
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毎日おこなう弁証法的行動療法自習帳

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  この2冊は本人向けです。

境界性パーソナリティ障害をもつ人と良い関係を築くコツ -家族、友人、パートナー、のための実践的アドバイス

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 これはご家族や周りの方向けです。