境界性パーソナリティ障害(BPD)を考える

境界性パーソナリティ障害に関するインターネット上の言説を整理しています。

境界性パーソナリティ障害(BPD)の病院の選び方に重要な5つの観点

さて、今回は境界性パーソナリティ障害かも?と思った場合の病院や治療者の選び方について私見を述べていきます。今回の記事は、境界性パーソナリティ障害(BPD)の方本人や、その周りの方に向けての記事になります。
あくまで私見です。選び方については様々な観点がありえますし、相性なども大切なことです。
ですから、こういった記事を書いておいてなんなのですが、世間的に良いとされる病院があなたにとっても良い病院とは限りません。
幾つかの観点に分けてご紹介します。

観点1:境界性パーソナリティ障害に理解のある病院、治療者か?

この観点が1番重要だと言えます。境界性パーソナリティ障害は、日本ではまだまだ理解の少ない症例であると思います。中には、「境界性パーソナリティ障害は性格であるから治らない」という、最新の研究からも、論理的にも、おかしなことを言う治療者まで存在します。
境界性パーソナリティ障害は、海外においては弁証法行動療法などの改善方法が適切な効果をあらわすことが実証されています。また、仮に性格であるというのなら、人の性格というのは後天的に身につけるものであり、良い方向にも悪い方向にも向いていくものです。ですから、性格であるから治らないというのも、おかしな話です。
さて、話を元に戻すと、境界性パーソナリティ障害に理解があるかどうかチェックするポイントは、まずは、その病院ないしカウンセリングセンターのページに、「境界性パーソナリティ障害」という言葉が登場するかどうかを調べてみてください。仮に登場しなければ、その病院には行くべきではありません。理解がない可能性が高いからです。
書いてない、または書いてあるが不安という場合には、直接電話などをして、境界性パーソナリティ障害の改善、治療に対応しているかどうか?を聞いた方が良いかなと思います。ここで歯切れの悪い答えが返ってくることがあります。こうした場合においても、要注意であると言った方が良いでしょう。境界性パーソナリティ障害の改善について具体的なプランを持ち合わせていない医師やカウンセラーにあたるのは最悪です。

観点2:境界性パーソナリティ障害が改善できる症例であることをはっきり述べられる治療者か?

私たちは、いま、境界性パーソナリティ傾向を改善するために治療者を探しているわけであって、治療者を誰でもいいから探しているわけではありません。
明確なプランを持っている治療者を必ず探しましょう。この際に重要なのは、治療を受ける側の納得感です。かならず方針を何かの機会に知っておくようにするべきです。今後の見通しについては、治療者と患者の二人三脚で立てていくものです。それに加え、周囲からの温かいサポートがもちろん重要だと思います。

観点3:薬を使う場合には、なぜ薬を使うのかを説明できるか?

信じられないことですが、なんの説明もなしに、境界性パーソナリティ障害の方に対してSSRIのような薬を処方するケースがあります。何も薬を処方することが悪いわけではありません。薬を併用しながら、カウンセリングや日々のトレーニングをしていくことで改善を図るつもりであれば、治療者からそれを説明する必要があるのです。それなしに、薬だけ処方されても、絶対に治ることはないでしょう。繰り返しになりますが、薬を処方するのが、悪いわけではありません。なぜ薬なのか、ということに納得感があれば大丈夫ですが、薬には気をつけてください。

観点4:通い続けられるか?

境界性パーソナリティ障害の改善は一朝一夕には成し遂げられません。短くても数ヶ月、あるいは数年に治療がわたることもあります。
であれば、例えば電車で片道何時間もかけて通うことが可能かどうかは、考えた方がよさそうです。ほかに代替手段がなければ仕方ありませんが、常に継続性を考えて、なるべくなら近場で選べればベストです。
また、お金の問題もあると思います。境界性パーソナリティ障害の治療では、保険適用外になるということが非常に多いです。この場合では、一回の治療費が1万円からそれ以上になるという場合も多いのです。何十回にも及ぶと考えると、やや腰が引けてくるかも知れませんが、お金がかかるというのは現実問題としてありますので、その辺りは覚悟する必要があります。

観点5:最新の動向を研究しているか?

境界性パーソナリティ障害への理解は近年になって急速に進んできています。ですから、治療者の中には、まったく勉強をしていない、知識のアップデートを怠っているケースがありえます。
このような治療者を避けるためには、ご本人が書籍を書いていたり、研究会や学会などで発表をしているか、論文を書いているか、などを調べる必要があります。
個人的には、境界性パーソナリティ障害と表記しているならまだしも、境界性人格障害という時代遅れな名称を使っている治療者は避けるべきと思います。
こうした観点から、じゃあ結局どこがいいの、ということになりますが、これは自分で探すのが1番最善です。お勧め書籍は、いくつかこのブログでも紹介していますし、その著者の開いているクリニックやカウンセリングセンターに行くのも良いでしょう。また、リンク先から飛べる、BPD家族会というページにも治療者や講演会の情報がありますので、是非参照してみて下さい。